
「今月も何も更新していないのに、3万円の請求が来た……」。そう感じているなら、その直感は正しいかもしれません。
通帳の記帳をするたびに目に入る、制作会社からの引き落とし履歴。「何もしてもらっていないのにお金を払うのは無駄ではないか」という疑念と、「でも、解約してホームページが消えたり壊れたりしたらどうしよう」というITへの苦手意識からくる恐怖。
この板挟みで、数年間動き出せずにいる経営者の方は非常に多いのです。
私は普段、AIを活用したSEO記事作成やGoogleマップ運用の自動化システムを開発・提供しています。私の仕事は、業務の「ブラックボックス」を解消し、人がやるべきこととシステムに任せることを仕分けることです。
その視点から見ると、多くのホームページ保守契約は「保険料」と「作業代」が混ざったまま、過剰なプランで放置されているのが実情です。
ホームページの維持には確かに実費(サーバー代など)がかかりますが、実は「何もしなくても発生する月額費用」の多くは見直しが可能です。
本記事では、IT用語が苦手なあなたでも判断できるよう、10年先も損をしないための保守費用の仕分け方と、制作会社と揉めずにコストダウンするための具体的な手順を解説します。
なぜホームページの月額保守費を「無駄」と感じるのか?その正体
- 成果物が見えない「安心料」への不信感が原因
- 「更新代行費」が含まれているのに、更新依頼をしていない矛盾
- 制作会社側の「サブスクリプション収益」の構造的要因
あなたが毎月の支払いを「無駄」と感じる最大の理由は、「対価として何を受け取っているか」が見えていないからです。
電気代なら電気が使える、家賃なら場所が使えるという明確な対価があります。しかし、ホームページの保守費用は、何もトラブルが起きず、更新もしなければ、目に見える変化はゼロです。
多くの制作会社は、以下の3つの要素をまとめて「保守費用」として請求しています。
- 1. 実費(インフラ代): サーバーやドメインの維持費(必須)
- 2. 保険(セキュリティ): データのバックアップやウイルス対策(重要)
- 3. サービス(作業枠): 更新作業や相談対応の権利(ここが問題)
不満の正体は、この「3. サービス(作業枠)」です。たとえば「月に3回までの更新作業を含む」という契約で3万円払っているのに、1回も更新を依頼しなければ、あなたは権利を放棄してお金だけ払っていることになります。
制作会社側からすれば、毎月定額が入るこの契約は経営の安定基盤です。そのため、あえて「今月は更新がないので安くしますね」とは言ってくれません。この構造に気づいた時、強い不信感が生まれるのは経営者として当然の感覚です。
払う価値がある「必要な保守」と、解約してもいい「無駄な保守」の境界線
- 「サイトの存続に関わる費用」は絶対に削ってはいけない
- 「使っていない権利」にお金を払うのは即刻やめるべき
- セキュリティは「契約」ではなく「自動化ツール」で代替可能な場合がある
では、具体的にどこまでが「払うべきお金」で、どこからが「捨てているお金」なのでしょうか。ここを間違えると、コスト削減のつもりがサイト消失という事故につながります。以下の基準で仕分けを行ってください。
1. 絶対に必要な費用(サイトの「住所と土地」代)
これらを止めると、ホームページは即座に閲覧できなくなります。
- ドメイン費用: 〇〇.com などの住所代。年額数千円程度。
- サーバー費用: サイトのデータを置く土地代。月額1,000円〜数千円程度。
これらが保守費用に含まれている場合、全解約は危険です。契約内容を変更し、自社契約に切り替える必要があります。
2. 検討の余地がある費用(サイトの「警備」代)
- CMS(WordPress)のバージョン更新: システムを最新に保つ作業。
- バックアップ: 壊れたときに復旧するためのデータ保存。
これらは重要ですが、月額数万円を払って人間が手動でやる必要があるかは疑問です。現在はサーバーの標準機能やプラグインで自動化できるケースがほとんどだからです。
3. 解約してもいい無駄な費用(使っていない「お手伝い」代)
- 更新作業費: テキスト修正や画像差し替えの権利。依頼していないなら完全な無駄です。
- アクセス解析レポート: GoogleアナリティクスのデータをPDFにして送ってくるだけのもの。見ていないなら不要です。
- SEOコンサルティング: 具体的な施策提案がなく、順位チェックだけならツールで十分です。
「何もしてもらっていない」と感じるなら、あなたの支払いの大半はこの「3」に消えています。
【作業別】ホームページ保守費用の適正相場と内訳一覧
- サーバー・ドメインの実費は月額1,000円〜5,000円が目安
- 月額1万円〜3万円の多くは「人件費」や「技術料」の上乗せ
- freee経営ナレッジなどのデータに基づく客観的な相場観を知る
制作会社からの請求書に「保守費用 一式」としか書かれていない場合、内訳がどうなっているのか相場を知っておくことが重要です。
freee株式会社が運営する『freee経営ナレッジ』によると、ホームページの維持・管理費の相場は以下のようになっています。
| 項目 | 相場(月額換算) | 備考 |
|---|---|---|
| ドメイン代 | 数百円〜 | 必須コスト(年払いが多い) |
| サーバー代 | 1,000円〜5,000円 | 必須コスト(性能による) |
| CMS保守・管理 | 3,000円〜10,000円 | WordPress等の更新・監視 |
| 更新作業代行 | 5,000円〜50,000円 | 記事追加や修正作業 |
| 全体相場 | 5,000円〜50,000円 | 契約内容により幅がある |
(参考:freee経営ナレッジ『ホームページ管理費(保守費用)の相場は?内訳や無駄なコストを抑える方法』)
もしあなたが、更新作業を依頼していないのに月額2万円〜3万円を払っているとしたら、本来5,000円程度で済む実費に対して、毎月15,000円以上の「安心料」を上乗せしている計算になります。
年間で約18万円〜36万円。この金額があれば、新しいWeb広告を打ったり、店舗の設備投資に回したりできるはずです。
保守契約を解約する前に知っておくべき3つのリスクと対策
- リスク1:契約解除と同時にサイトデータが削除される
- リスク2:WordPress等の更新が止まり、ウイルス感染のリスク増
- リスク3:トラブル発生時に相談できる相手がいなくなる
「よし、解約しよう」と電話をする前に、必ず以下のリスクへの対策を準備してください。ITが苦手な方が最も恐れる「サイトが消える」「壊れる」事態を防ぐための防波堤です。
リスク1:ドメインとサーバーの所有権問題
制作会社のサーバーを間借りしている場合、契約解除=データ削除となります。【対策】 解約交渉の際、「サーバーとドメインを自社契約(または他社)に移管したい」と伝え、移管作業を依頼してください(移管作業費として一時的に費用がかかる場合がありますが、長期的に見れば安くなります)。
リスク2:セキュリティの放置
保守を解約すると、システムのアップデートを誰もやってくれなくなります。古いまま放置すると、サイトが改ざんされるリスクが高まります。【対策】 エックスサーバーなどの大手レンタルサーバーには、WordPressを自動で最新版に保つ機能や、自動バックアップ機能が標準装備されています。移管先をこうした高機能なサーバーにすることで、自動化できます。
リスク3:緊急時の連絡先喪失
「画面が真っ白になった」という時に、電話一本で助けてくれる人がいなくなります。【対策】 これこそが次の章で解説する「都度払い(スポット依頼)」の出番です。
月額費用をゼロにする「都度払い」や「セルフ管理」への切り替え手順
- 定額制(サブスク)から都度払い(スポット)へ移行する
- 自社でできる簡単な更新は自分たちで行う(セルフ管理)
- ドメイン・サーバー代の直接契約で中間マージンをカット
コストを最適化するゴールは、「維持費は実費のみ」+「何かあった時だけプロに頼む」という体制です。
手順1:ドメインとサーバーを自社名義にする
これまで制作会社経由で支払っていたものを、直接契約に切り替えます。これで、月々の支払いはサーバー会社への数千円だけになります。制作会社へ「管理を自社で行いたいので、ドメインとサーバーのアカウント情報を教えてほしい」と相談しましょう。
手順2:更新作業は「スポット契約」へ
freeeの記事でも触れられている通り、更新が必要な時だけ費用が発生する「スポット契約」への移行を打診します。今の制作会社がスポット対応をしていない場合でも、世の中には「WordPressの修正 1回5,000円〜」のように、単発で受けてくれるフリーランスや保守専門業者がたくさんいます。今の会社に固執する必要はありません。
手順3:お知らせ更新だけは自社で
「年末年始の休業案内」のような簡単なテキスト修正まで外注するのは不経済です。操作方法を一回だけレクチャーしてもらい(これもスポット依頼でOK)、簡単な更新は社内で行えるようにすれば、コストは限りなくゼロに近づきます。
制作会社に角を立てずに契約内容を見直すための交渉術
- 「不満」ではなく「経営方針の変更」を理由にする
- 全解約ではなく「プランのダウングレード」から入る
- 相手の顔を立てつつ、主導権をこちらに取り戻す
長年付き合いのある制作会社だと、「解約したら悪い気がする」「怒らせてサイトを消されたら怖い」という心理が働くものです。円満に移行するための交渉スクリプトを用意しました。
NGな伝え方
「何もしてくれていないので、お金がもったいないから解約します」→ 相手のプライドを傷つけ、「いや、我々は裏で監視しています」といった反論や、冷たい対応を招く恐れがあります。
OKな伝え方(交渉スクリプト)
「今期、社内で固定費の見直しを行うことになりまして、ホームページの維持費も削減対象となりました。サイト自体は気に入っているので残したいのですが、月額保守プランを解約して、今後は更新が必要な時だけスポット(都度払い)でお願いすることは可能でしょうか?」
ポイント
- 「上(会社・税理士など)の方針」にする: あなた個人の感情ではなく、経営上の決定であることを伝えます。
- 「必要な時は頼む」と伝える: 関係を完全に断つわけではないことを匂わせることで、相手も無下にはできません。
- 「サーバー移管」を切り出す: スポット契約が不可と言われたら、「では、サーバーを自社管理に切り替えますので、移管の手続きをお願いします」と一歩踏み込んでください。
まとめ:あなたのサイトに最適な「保守のカタチ」を再定義しよう
- 何もしていない期間に払うお金は、将来への投資ではない
- 「怖いからそのまま」が一番の損失。リスクは知識で回避できる
- 浮いた予算を、集客や売上アップのための「攻めの施策」へ
ホームページの保守費用に月3万円払っていたとして、それを10年続ければ360万円です。もしそのサイトがほとんど更新されず、ただ存在しているだけなら、その360万円はあまりに高い「場所代」と言わざるを得ません。
ITに詳しくないからといって、言いなりになり続ける必要はありません。 「維持管理(守り)」にお金をかける時代から、「集客活用(攻め)」にお金をかける時代へとシフトしましょう。
まずは、今の契約書を確認し、制作会社に「今後は都度払いにしたい」と連絡することから始めてみてください。その一本の電話が、あなたの会社の無駄なコストを利益に変える第一歩になります。