
「ホームページを作りたいが、診察の合間に何千文字も原稿を書くなんて不可能だ」――そうお考えの院長先生、ご安心ください。現在のクリニックHP制作では『原稿不要』は当たり前になりつつあります。しかし、安易に丸投げすると、法律違反で公開停止に追い込まれたり、どこにでもある『中身のないサイト』になってしまうリスクも。忙しい先生が、労力を最小限に抑えつつ、信頼されるサイトを作るための「正しい外注の極意」を解説します。
なぜ多くの院長が「原稿不要」のホームページ制作を求めるのか?
- 診療、採用、内装工事に追われ、執筆時間を確保するのが物理的に不可能である
- 自分の想いを文章化することに苦手意識があり、プロに任せたいという心理
- 開業前のプレッシャーの中で「少しでもタスクを減らしたい」という切実な願い
都内で開業準備を進められている先生方とお話しすると、皆さま口を揃えて「時間がない」と仰います。これは言い訳でも何でもなく、紛れもない事実でしょう。物件の選定、内装の打ち合わせ、医療機器の選定、スタッフの面接、さらには保健所への届出……。これだけのタスクをこなしながら、ホームページ用に「院長挨拶」や「診療案内」など、数千文字にも及ぶ原稿を執筆するのは、まさに苦行です。
また、多くのドクターは「話すこと(ムンテラ)」はプロフェッショナルですが、「書くこと(ライティング)」のプロではありません。「患者様に想いを伝えたいが、いざパソコンに向かうと手が止まってしまう」「自分が書くと、どうしても論文調になってしまい、親しみやすさが出ない」という悩みも深く理解できます。
だからこそ、「原稿作成も丸投げしたい」というニーズは当然のものですし、実際に多くの制作会社がそれに対応しています。しかし、ここで一つ釘を刺させてください。「丸投げ」には「良い丸投げ」と「悪い丸投げ」があります。思考停止で全てを預けてしまうと、後で取り返しのつかない事態になりかねません。
「原稿なし」プランに潜む2つの形態:AI・テンプレ型 vs インタビュー型
- 「原稿不要」には、既存の文章を使い回す「テンプレ型」と、取材に基づく「インタビュー型」がある
- 安価な制作会社の多くは、他院のサイトのツギハギやAI生成で済ませている実態
- 先生の「固有の強み」が消え、患者から選ばれないサイトになるリスク
制作会社が謳う「原稿作成お任せ」には、大きく分けて2つのパターンが存在します。ここを見極めないと、先生のクリニックの魅力は完全に死んでしまいます。
1つ目は、「AI・テンプレート型」です。
これは格安の制作会社に多いパターンです。「内科 クリニック 挨拶」などで検索して出てくるような、当たり障りのない定型文をコピペし、病院名だけ書き換える手法です。あるいは、最近ではAIに「〇〇科の診療内容を書いて」と指示し、出力されたものをそのまま貼り付けるケースも増えています。
これらは確かに「原稿不要」ですが、出来上がるのは「どこにでもあるクリニックのサイト」です。患者様は比較検討していますから、「この先生、他の病院と同じことしか言ってないな」と見透かされ、来院動機には繋がりません。
2つ目は、「ヒアリング・インタビュー型」です。
私たちが推奨するのはこちらです。プロのライターやディレクターが先生にインタビューを行い、診療方針やターゲット層、先生の人柄を引き出した上で、ゼロから文章を作成します。
先生は「喋るだけ」で済みますが、アウトプットされる文章は、先生の魂がこもった、世界に一つだけのコンテンツになります。
「原稿不要」という言葉の裏に、どちらのプロセスが隠れているのか。ここを確認することが、失敗しない第一歩です。
知らないと怖い!原稿丸投げで陥りやすい「医療広告ガイドライン」の罠
- 一般的なライターは医療法やガイドラインの知識が乏しいことが多い
- 「地域No.1」「最高の名医」などの表現は、知らないうちに違法広告となる
- 責任を負うのは制作会社ではなく、広告主であるクリニック(院長)自身
私が最も懸念しているのが、この「医療広告ガイドライン」の問題です。
厚生労働省が定めるこのガイドラインは非常に厳格です。しかし、医療専門でない一般的なWeb制作会社のライターは、このルールを熟知していないことが多々あります。
例えば、制作会社が良かれと思って書いた次のようなコピーは、すべてガイドライン違反(またはその恐れ)になります。
- 「〇〇区でNo.1の実績を誇るクリニック」(比較優良広告の禁止)
- 「絶対に治ります」(誇大広告の禁止・公序良俗に反する内容)
- 「最新の〇〇治療」(客観的事実の証明が困難な表現)
- (加工修正したビフォーアフター写真の掲載)
恐ろしいのは、これらが違反と認定された場合、指導や処罰の対象となるのは制作会社ではなく、広告主である「先生ご自身」だということです。
「プロに任せたから大丈夫だろう」とチェックを怠り、開業早々に保健所から指導が入ったり、最悪の場合、ネット上で「違法広告を出している怪しい病院」というレッテルを貼られたりしては、ブランドイメージは失墜します。
「原稿お任せ」にする場合でも、必ず「医療広告ガイドラインを遵守したライティングが可能か?」を確認し、最終的な原稿チェックは先生ご自身、あるいは法務知識のある第三者が行う必要があります。
集患に差がつく「お任せ」でも質の高い原稿が出来上がる制作会社の特徴
- 「何を書きますか?」ではなく「どんな患者様を救いたいですか?」と聞く姿勢
- 医療専門のライターや、医療法務管理者がチームに在籍している
- SEOの観点から「患者が検索するキーワード」を網羅した構成案を出せる
では、どのような制作会社なら安心し「丸投げ」できるのでしょうか。質の高い原稿を作り上げる会社には、共通する特徴があります。
まず、ヒアリングの質が違います。
ダメな会社は「診療時間は?」「設備は?」といったスペック情報しか聞きません。
良い会社は、「先生がこの地で開業を決めた理由は?」「特に診たい疾患とその治療へのこだわりは?」「患者様に帰るときどうなっていて欲しいか?」といった、『情緒的価値』や『診療のストーリー』を深掘りします。
次に、医療特化の専門性です。
社内に医療ライターがいる、あるいは外部の医療法務チェック機関と提携している会社は信頼できます。専門用語を正しく理解し、かつ一般の患者様にわかりやすく噛み砕く翻訳能力が求められます。
そして、SEO(検索対策)への理解です。
ただ綺麗な文章を書くだけでは集患できません。「〇〇市 頭痛外来」「子供 発熱 夜間」など、患者様が実際に検索するキーワードを意識し、それを自然な形で文章に盛り込む構成力が不可欠です。
原稿不要プランの費用相場と、後から後悔しないための追加料金チェック
- テンプレート流用の原稿作成費は数万円だが、集患効果は薄い
- プロの取材・執筆が含まれる場合、10万円~30万円程度の追加費用が相場
- 修正回数制限や、専門的なリライトに追加費用がかからないか確認必須
「原稿作成」にかかる費用は、ピンキリです。
既存のテキストを流用するだけのプランであれば、制作費に含まれているか、数万円程度のオプションでしょう。しかし、前述の通り、これでは集患効果は期待できません。
一方、プロのライターが取材を行い、SEOとガイドラインを考慮して執筆する場合、10ページ程度のサイトで10万円~30万円程度が相場となります。「高い」と感じるかもしれませんが、先生が数日間診療を休んで執筆する機会損失コストや、集患効果の差を考えれば、決して高い投資ではありません。
契約前に必ず確認すべきは、以下の「追加料金」の有無です。
- 修正回数制限: 「原稿確認後の修正は2回まで。それ以降は有料」というケースがあります。こだわりたい先生にとっては足かせになります。
- 専門記事の執筆: 一般的な案内は定額でも、「疾患別の詳細ページ」は別料金(1記事あたり1~3万円など)になることが多いです。
- 法務チェック費用: ガイドライン適合チェックが別料金になっていないか確認しましょう。
忙しい院長でもこれだけは用意すべき「最小限の素材」とは?
- 医師としての「経歴・資格」は正確なデータが必要(詐称リスク回避)
- 「理念・挨拶」は箇条書きやメモ書き、ボイスメッセージでもOK
- 院内やスタッフの写真は「フリー素材」を使わず、スマホ撮影でも実物を
いくら「丸投げ」といっても、制作会社が絶対に捏造できない、先生ご自身からご提供いただかなければならない「最小限の素材」があります。
- 正確な経歴と資格リスト
卒業年度、勤務歴、所属学会、専門医資格。ここは信頼性の根幹であり、間違いが許されません。履歴書のコピーで構いませんので、正確な情報を渡してください。 - 診療理念のキーワード(メモ書きで可)
文章にする必要はありません。「地域密着」「痛みの少ない治療」「説明を重視」など、キーワードの箇条書きで構いません。あるいは、打ち合わせ時に口頭で伝えていただければ、私たちが文章化します。 - リアルな写真
ここが意外と盲点です。文章はプロが代筆できますが、写真は現場のものです。「綺麗な外国人モデルが微笑んでいるフリー素材」ばかりのサイトは、患者様に不信感を与えます。プロのカメラマンを呼ぶ時間がなければ、スマホで撮影したものでも構いません。先生の顔、スタッフの雰囲気、実際の待合室の写真を用意してください。
これさえあれば、あとは料理人が最高のフルコースに仕上げるように、私たちが魅力的なサイトに構築します。
失敗しない制作会社選び:比較時に必ず確認すべき3通りの質問
- 「ライティングを担当するのは誰ですか?(医療の知識はありますか?)」
- 「過去に作成した記事で、ガイドライン対策は具体的にどう行いましたか?」
- 「取材・インタビューの時間はどのくらい確保してもらえますか?」
数ある制作会社の中から、パートナーを選ぶ際に投げかけていただきたい質問があります。営業担当者の言葉だけでなく、以下の点を確認してください。
- 「ライティングを担当するのは誰ですか?」
「ディレクターが兼任します」や「クラウドソーシングの外部ライターです」という回答は要注意です。医療専門、あるいはWebライティングの専任者がいるかを聞いてください。 - 「医療広告ガイドラインのチェック体制はどうなっていますか?」
「気をつけて作成します」という精神論ではなく、「NGワード集のチェックツールを通しています」や「過去に保健所の指摘を受けた事例を共有しています」など、具体的な対策を持っているかを確認しましょう。 - 「取材形式は?」
「メールでヒアリングシートを送るので記入してください」というのは、実質的に先生に書かせているのと同じです。「Zoomや対面で1時間程度、じっくり話を聞いてくれるか」が、質の高い原稿になるかどうかの分かれ道です。
まとめ:賢く「原稿不要」を活用して理想のクリニックサイトを実現する
- 忙しい先生こそ、コストをかけてでも「インタビュー型」の原稿作成を選ぶべき
- ガイドライン遵守とSEO対策は、プロに任せることでリスクと手間を回避できる
- 「丸投げ」=「無関心」ではなく、想いを伝えるための「賢い投資」と捉える
先生の本業は、目の前の患者様を診察し、治療することです。慣れない文章作成に時間を奪われ、開業準備がおろそかになったり、睡眠時間を削ったりするのは本末転倒です。
しかし、ホームページは「24時間365日働く、クリニックの顔」です。ここをおろそかにすれば、素晴らしい医療技術を持っていても、患者様にその価値は届きません。
だからこそ、賢く「原稿不要」を活用してください。
単なる手抜きのための丸投げではなく、「自分の想いを、プロの技術で、患者様に響く言葉に翻訳してもらう」ための投資と考えてください。
「先生のクリニックらしさ」と言葉の力を融合させ、集患という結果で応えてくれるパートナーを選びましょう。そうすれば、原稿執筆のストレスから解放されるだけでなく、開業後のロケットスタートも約束されるはずです。