
「ホームページを作りたいが、原稿を書く時間がどうしても取れない…」
そんな悩みを抱える院長は少なくありません。
日々の診療、スタッフのマネジメント、レセプト業務。そこに加えて、数百〜数千文字におよぶ専門的な紹介文やブログを自力で書くことは、物理的にも精神的にも限界に近いことでしょう。「文章さえ準備できれば進められるのに」という焦燥感を抱えながら、制作が何ヶ月もストップしてしまうケースを、私はこれまで数多く見てきました。
実は、今のWeb制作において『原稿を自分で書かないこと』は、決して手抜きではなく、むしろ成功への近道です。
ただし、やり方を間違えると「どこにでもある内容」になり、集患に繋がりません。本記事では、患者行動導線を熟知した制作者の視点から、多忙な医師が一切ペンを取らずに、かつ患者に選ばれるWebサイトを完成させる具体的な戦略を解説します。
なぜ多くの院長が「ホームページの原稿作成」で挫折するのか
- 診療後の疲労困憊した状態で、クリエイティブな文章作成は困難
- 「医師としての正確さ」と「患者への分かりやすさ」の板挟みによる筆の停止
- 完璧主義が災いし、白紙のファイルを前に時間が過ぎる「空白の恐怖」
多くの先生方が、ホームページ制作の契約後に最初にぶつかる壁がこれです。
「挨拶文」「診療方針」「疾患の説明」。これらを先生ご自身で書こうとすると、どうしても「論文」や「カルテ」のような硬い文章になりがちです。一方で、患者さんに響くように柔らかく書こうとすると、今度は「医療的な厳密さ」が気になり、筆が止まってしまう。
さらに、診療が終わった夜21時過ぎ、疲れた頭で「魅力的なキャッチコピー」を考えるというのは、苦行以外の何物でもありません。
私が強調したいのは、「原稿が書けないのは、先生の能力不足や怠慢では決してない」ということです。それは単に、脳のリソースを使う場所が違うだけです。先生の時間は、患者さんと向き合うために使われるべきであり、キーボードを叩いて文章を捻り出すために消費されるべきではありません。
「原稿がいらない」制作サービスにある2つの正体
- パターンA:低品質な「テンプレート埋め込み型」
- パターンB:高品質な「プロライターによる取材・インタビュー型」
- 成功のためには「パターンB」を一択で選ぶ必要がある
「原稿作成なし」「丸投げOK」を謳うホームページ制作会社には、実は明確に異なる2つのタイプが存在します。ここを混同すると、制作は失敗します。
パターンAは「テンプレート埋め込み型」です。
これは、あらかじめ用意された「地域医療に貢献します」「患者様に寄り添います」といった、当たり障りのない定型文をパズルのように組み合わせるだけのものです。安価ですが、先生のクリニックの個性は完全に消え失せます。
パターンBは「取材・インタビュー型」です。
プロのライターやディレクターが先生にインタビューを行い、その話し言葉から想いや強みを汲み取り、文章として再構築する手法です。私が推奨するのは、間違いなくこのタイプです。
「丸投げ」という言葉は同じでも、その中身は「手抜き」か「プロへの委任」かという、天と地ほどの差があります。
テンプレート式の「原稿なし」サービスに潜む3つのリスク
- Googleから「コピーコンテンツ」とみなされ、検索順位が上がらない
- 近隣の競合クリニックと内容が被り、患者が「選ぶ理由」を見つけられない
- 実際の診療スタイルとWeb上の美辞麗句に乖離が生まれ、患者の不信感を招く
安易にパターンA(テンプレート型)を選んでしまった場合に起こる悲劇について、SEOと集患の観点から警告させてください。
最大の欠点はSEO(検索エンジン最適化)での致命的な弱さです。Googleは「独自性のあるコンテンツ」を高く評価します。どこかのサイトからコピーしたような定型文で構成されたサイトは、価値が低いと判断され、検索結果の上位に表示されることはまずありません。
また、患者さんの視点に立ってみてください。「親切丁寧な診療」と書かれたAクリニックとBクリニック。どちらに行けばいいか悩みますよね? 結局、家から近い方や、たまたま空いている方に行くだけになってしまいます。
さらに怖いのが「ミスマッチ」です。テンプレート文章で「待ち時間を減らす工夫をしています」と勝手に書かれてしまい、実際は混雑している場合、Googleマップの口コミに「ホームページと違う」と書かれるリスクさえあります。
忙しい医師にこそ「インタビュー型」の制作会社がおすすめな理由
- 1時間のインタビューで、数千文字分の原稿作成時間を節約できる
- 第三者の視点が入ることで、先生自身が気づいていない「強み」が言語化される
- 「話し言葉」を「読ませる文章」に変換するプロの技術で、離脱率を下げる
では、なぜ私が「インタビュー型」を強く推すのか。それは、先生の時間を「執筆」ではなく「会話」に投資していただきたいからです。
多くの先生は、文章を書くのは苦手でも、診療方針や患者さんへの想いについて「語る」ことは得意です。あるいは、熱い想いをお持ちです。
プロのライターが同席するインタビューなら、先生は質問に答えるだけで済みます。「なぜここで開業したのですか?」「特に力を入れている治療は何ですか?」。これに答える1時間程度の時間は、先生が独りでPCに向かって悩み続ける数十時間に匹敵する価値を生みます。
また、先生にとって「当たり前にやっていること(例:検査結果をモニターで見せながら説明する)」が、患者さんにとっては「選ぶ決め手」になることが多々あります。そうした潜在的な魅力を掘り起こせるのが、プロによるインタビューの最大のメリットです。
医療広告ガイドライン遵守と「丸投げ」を両立させるチェックポイント
- ライターが「医療広告ガイドライン」を熟知しているか確認する
- 「絶対」「No.1」などのNGワードを自動的に排除できる体制があるか
- 最終確認(監修)だけは、必ず院長自身の目で行うこと
「丸投げ」において最も懸念されるのが、医療法や医療広告ガイドラインへの抵触です。
一般的なWebライターは、集客を意識するあまり、「絶対に治ります」「地域No.1の実績」といった、医療広告ガイドラインで禁止されている表現(誇大広告・比較優良広告)を使ってしまうことがあります。これでは、保健所からの指導対象となり、クリニックの信頼を損ないます。
依頼する際は、必ず「医療専門、または医療事案に強いライターが担当するか」を確認してください。
そして、唯一先生がやらなければならない仕事があります。それが「最終原稿のファクトチェック(事実確認)」です。文章の表現やてにをは等の修正は不要ですが、「医学的に誤りがないか」「当院の設備で対応可能か」という点だけは、責任者である先生の目でチェックを入れる。この線引きさえ守れば、安全に制作を委任できます。
原稿不要で質の高いサイトを作るための「準備」とは?
- 参考サイトのURLを3つ用意する(好みのデザイン・雰囲気の共有)
- 「これだけは伝えたい」というキーワードを箇条書きにする
- 素材写真だけはプロカメラマンを入れるか、リアルな院内写真を準備する
原稿は書かなくて構いません。その代わり、プロが良い仕事をするための「材料」だけ少しご用意ください。
最も重要なのは「ビジュアルとキーワード」です。
「文章は任せるけど、雰囲気はこんな感じが好き」という参考サイト(他業種でも可)があると、ズレがなくなります。また、「内視鏡」「苦痛が少ない」「日帰り」といった、必ず入れてほしいキーワードをメモ書きで渡すだけで、ライターの精度は劇的に上がります。
そして、文章を外注するからこそ、写真は「リアル」にこだわってください。フリー素材の外国人モデルが微笑んでいる写真ばかりでは、せっかくのオリジナル文章も嘘っぽく見えてしまいます。文章作成の時間を浮かせた分、半日だけプロカメラマンによる撮影の日を設けることを強くお勧めします。
失敗しない制作会社選び:見積もり時に確認すべき5つの質問
- 「原稿作成は誰が行いますか? 医療ライティングの経験はありますか?」
- 「取材は対面、またはZoomなどで直接話を聞いてくれますか?」
- 「医療広告ガイドラインのチェック体制はどうなっていますか?」
- 「修正は何回まで対応可能ですか?」
- 「制作後のSEO対策として、ブログ記事などの作成代行も相談できますか?」
最後に、制作会社を選ぶ際に、営業担当者に投げかけるべき質問をまとめました。
特に重要なのは2つ目の「直接話を聞いてくれるか」です。「ヒアリングシート(質問票)を送るので記入して返送してください」という形式であれば、それは結局先生が原稿を書いているのと変わりません。必ず「対話」を重視するパートナーを選んでください。
先生の時間は、地域医療を支えるための最も貴重な資源です。
その時間を守りつつ、クリニックの魅力を最大化して伝えるために。「自分で書かない」という選択は、経営者として極めて合理的な判断です。
ぜひ、先生の想いを「書く」のではなく「語る」ことで、理想のホームページを作り上げてください。私たちは、その言葉を受け取る準備ができています。