
「今の制作会社は対応が遅すぎるが、変えるとなると何から手をつければいいのか……」そんな不安を抱えていませんか?
実は、医院のホームページ変更には、一歩間違えると「長年使い続けたドメイン(URL)を失う」「検索結果から医院名が消える」といった大きなリスクが潜んでいます。多くの先生方が、そのリスクを恐れるあまり、不満を感じながらも現状維持を選んでしまっています。
しかし、適切な手順さえ踏めば、これらのリスクはゼロに近づけることが可能です。本記事では、これまで数多くのクリニックのWebサイト移行を成功させ、集患体制を立て直してきた視点から、院長が最低限知っておくべき『失敗しないための移行手順』を分かりやすく解説します。
これは単なる「業者の変え方」ではありません。先生のクリニックの大切な資産を守るためのマニュアルです。
なぜ今、医院のホームページ制作会社を変更するべきなのか?
- 対応の遅さは「患者の信頼」と「機会損失」に直結する
- スマートフォン対応やセキュリティ対策が不十分だと検索順位が下がる
- 「リース契約」など、資産にならない契約形態からの脱却が必要
「電話をしても担当者が捕まらない」「修正依頼をしてから反映されるまで1週間かかる」
先生が日々の診療で忙殺される中、こうしたストレスは小さなものに見えて、実は経営上の大きな足かせとなっています。例えば、年末年始の休診案内や、急なワクチン予約の告知が遅れれば、患者さんは「やっていないのか」「不親切だ」と感じ、他のクリニックへ流れてしまいます。Webサイトは今や「医院の顔」であり、その更新スピードは医院の信頼性に直結します。
また、Webの世界は技術の進歩が早く、数年前に作ったサイトでは現在のGoogleの評価基準(スマートフォン最優先、表示速度、セキュリティなど)を満たせていないケースが多々あります。放置すればするほど、近隣の競合医院に検索順位で抜かれ、「新患が来ない」状況が悪化します。
今の管理会社に不満があるならば、それは「より良い医療サービスを提供するための体制」を作るために、今すぐ見直すべきタイミングなのです。
制作会社の変更(乗り換え)で発生しやすい3つの致命的なトラブル
- トラブル1:ドメイン(URL)の所有権がなく、サイトが消滅する
- トラブル2:サーバー切り替えの失敗で、メールが数日間使えなくなる
- トラブル3:移行手順のミスで、これまで積み上げたSEO評価がリセットされる
制作会社を変更する際、最も恐ろしいのは「Webサイトが表示されなくなる」ことではありません。「二度と元のドメインが使えなくなる」ことです。
多くの先生が誤解されていますが、ホームページのデータと「ドメイン(◯◯-clinic.comなどの住所)」は別物です。悪質なリース契約や初期費用無料の契約では、このドメインの名義が制作会社になっているケースがあります。この場合、解約を申し出た途端に「ドメインは当社の持ち物です。解約するならドメインは廃止します」と通告されるトラブルが後を絶ちません。こうなると、診察券や看板に印刷したURLがすべて無効になり、ゼロからサイトを作り直すことになります。
また、クリニックでは独自ドメインのメールアドレス(info@◯◯-clinic.comなど)を使っていることが多いですが、サーバーの切り替え手順を間違えると、このメールが数日間送受信できなくなります。検査結果のやり取りや予約通知が届かないとなれば、診療業務に支障をきたします。
そしてSEO(検索対策)の観点でも、単にデータを移すだけでは不十分です。過去のURL構造が変わってしまうと、Googleからの評価がリセットされ、検索順位が圏外に飛んでしまうリスクもあります。これらはすべて、事前の確認と正しい手順で防げるトラブルです。
失敗しないための「ドメイン所有権」と「サーバー契約」の確認事項
- 現在の契約書で「ドメインの所有権」が誰にあるかを確認する
- 「Whois情報」をチェックし、登録者名が誰になっているか調べる
- 解約時に「ドメイン移管」が可能か、費用がかかるかを問い合わせる
会社を変更する決断をする前に、必ず確認していただきたいのが「契約書」です。特に「ドメインの所有権」に関する条項を探してください。もし手元に契約書がない、あるいは記載が曖昧な場合は、今の制作会社に解約の意図を伝える前に、以下の質問を投げかけてみてください。
「将来的な話として確認したいのですが、もし契約を終了する場合、ドメインの移管(持ち出し)は可能ですか? その場合、手数料はいくらかかりますか?」
また、Web上で誰でも確認できる「Whois情報検索」を使えば、現在のドメイン登録者が誰になっているかを確認できます。ここが制作会社の名義になっている場合は要注意です。
サーバーに関しては、制作会社のサーバーを間借りしているのか、クリニック名義でレンタルサーバーを契約しているのかを確認します。クリニック名義であれば、IDとパスワードさえあれば制作会社を変えてもそのまま使い続けられるため、移行のリスクは格段に下がります。
スムーズな移行を実現する5つのステップとスケジュール
- ステップ1:現状把握と新会社の選定(解約通知はまだ出さない)
- ステップ2:新会社との契約・ドメイン移管の準備(AuthCodeの取得)
- ステップ3:新サーバーへのデータ移行・テスト環境での確認
- ステップ4:ネームサーバー変更(切り替え)とメール設定の変更
- ステップ5:旧制作会社の解約・旧サーバーの停止
最も重要な鉄則は、「新しい移行先の環境が整うまで、今の会社を解約してはいけない」ということです。
まず、新しいパートナー(制作会社)を決めます。その新会社主導のもと、現在の会社から「ドメイン移管」に必要な「AuthCode(オースコード)」というパスワードのようなものを取得してもらいます。
次に、新しいサーバーにホームページのデータをコピーし、メールアカウントの設定を行います。この段階ではまだ表向きのサイトは変わっていません。準備が完全に整った段階で、インターネット上の住所設定(ネームサーバー)を書き換えます。これにより、閲覧者がアクセスする先が旧サーバーから新サーバーへ切り替わります。
この切り替えが完了し、安定稼働を確認してから、初めて旧制作会社との契約を終了させます。この「重複期間」を1ヶ月程度設けることが、メールの取りこぼしやサイトのダウンタイムを防ぐ安全策です。
医療機関に特化した制作会社を選ぶための4つのチェックリスト
- 医療法(医療広告ガイドライン)への理解と遵守体制があるか
- デザインだけでなく「集患(SEO・MEO)」の実績があるか
- 更新依頼へのレスポンス速度とサポート体制が明確か
- 契約終了時のドメイン・データの引き渡し条件が明記されているか
「おしゃれなサイトを作れます」という制作会社は山ほどありますが、医療機関のサイト制作は特殊です。特に「医療広告ガイドライン」の知識がない業者に任せると、知らぬ間に法に抵触した表現(「絶対治る」「最高の名医」など)を掲載され、保健所から指導を受けるリスクがあります。
また、クリニックの集患には、地域名と診療科名を組み合わせたSEO対策や、Googleマップ対策(MEO)が不可欠です。これらに精通しているか、実績を見せてもらいましょう。
そして何より重要なのが「出口戦略」です。今回のような乗り換えの苦労を二度としないためにも、次の契約では「ドメインとサーバーはクリニックの資産とする(クリニック名義で契約する)」ことを推奨してくれる会社を選んでください。ここを隠そうとする会社は、顧客を囲い込もうとする意図が見えるため避けるべきです。
ホームページ変更にかかる費用相場とコストを抑えるポイント
- 管理会社の変更のみ(デザインそのまま)なら3万円〜15万円が相場
- リニューアルを伴う場合は、数十万円〜100万円以上と幅がある
- サーバーを自院契約にすることで、月々のランニングコストを下げる
制作会社を変更する際の費用は、「今のデザインをそのまま使うか(移管のみ)」「新しく作り直すか(リニューアル)」で大きく異なります。
純粋に管理会社だけを変え、サーバー移転やドメイン移管を行う場合、作業費用の相場は3万円〜15万円程度です(参照:Medical Grits)。これにはDNS設定の変更、データのバックアップと復元、メール設定のサポートなどが含まれます。
一方、同時にサイトをリニューアルする場合は、別途制作費がかかります。コストを抑えるポイントは、月額費用の内訳を見直すことです。多くの制作会社は「管理費」として月額数万円を請求しますが、自分でレンタルサーバー(月額1,000円〜3,000円程度)を契約し、更新作業だけをスポット(都度払い)で依頼する形にすれば、年間の固定費を大幅に削減できる場合があります。
変更後にSEO順位を下げないための「リダイレクト設定」の重要性
- ページURLが変わる場合は「301リダイレクト」が必須
- 旧サイトの評価を新サイトに引き継ぐための「転送届」の役割
- 内部リンク切れを防ぎ、患者さんが迷子にならないようにする
「制作会社を変えたら、検索順位がガタ落ちした」。これは多くの場合、「リダイレクト設定」の不備が原因です。
リニューアルによって、例えば「diagnosis.html」というページが「medical-menu」というURLに変わったとします。Googleはこれを「全く別の新しいページ」と認識し、これまで積み上げた評価をゼロにしてしまいます。
これを防ぐのが「301リダイレクト」という設定です。これは郵便局の転送届のようなもので、「このページはこっちに引っ越しましたよ」とGoogleに伝える役割を果たします。これにより、旧ページのSEO評価(ドメインパワー)を新ページに引き継ぐことができます。ITに詳しくない先生でも、「URLが変わる場合は、301リダイレクト設定をお願いします」と一言伝えるだけで、相手の対応が変わります。
旧制作会社とのトラブルを回避する円満な解約交渉の進め方
- 「不満」ではなく「経営方針の変更」を理由にする
- 解約通知の期限(1ヶ月前、3ヶ月前など)を契約書で確認する
- ドメイン移管の承諾を文書(メール)で残す
長年の付き合いがある場合、解約を切り出しにくいものです。しかし、感情的になったり、サービスの質の悪さを指摘したりすると、相手が態度を硬化させ、ドメイン移管の手続きを遅らせるなどの意地悪をされるリスクがあります。
円満に解約するためのコツは、あくまでビジネスライクに進めることです。「知人のコンサルタントにWeb戦略を統括してもらうことになった」「院内のIT管理体制を一元化することになった」など、相手の非ではなく、こちらの組織的な事情であると説明するのがスムーズです。
また、解約通知期限には注意してください。自動更新の契約の場合、更新日の○ヶ月前までに申し出ないと、翌1年分の費用を請求されることがあります。
制作会社を変えて集患・採用が改善したクリニックの成功事例
- 迅速な情報発信により、新患の問い合わせ数が1.5倍に増加
- 「働きたい」と思わせる採用ページの改善で、看護師採用に成功
- 院長のWeb管理ストレスが激減し、診療に集中できる環境へ
ある内科クリニックの事例です。以前はリース契約のホームページで、修正依頼をしても2週間待たされるのが当たり前でした。ドメインも業者名義で、「解約するならサイトは消えます」と言われていました。
私たちが介入し、粘り強い交渉の末にドメインを買い取り、クリニック自身の管理下にあるサーバーへ移行しました。同時に、スマホで見やすいデザインに微調整し、ブログ機能を導入。院長自身が「発熱外来の状況」や「ワクチン入荷情報」を即座に発信できるようにした結果、地域の患者さんからの信頼が高まり、新患数が半年で1.5倍に増加しました。
また、募集要項しか載っていなかった採用ページに「スタッフの1日」や「院長インタビュー」を追加したことで、理念に共感した看護師の応募があり、採用コストをかけずに優秀なスタッフを獲得できました。
そのまま放置することが、最大のリスクです
ホームページ制作会社の変更は、確かにエネルギーのいる作業です。「面倒だから」と先送りにしたくなる気持ちは痛いほど分かります。
しかし、対応の遅い業者や、ドメインを人質に取るような契約を続けていること自体が、先生のクリニックから「未来の患者さん」と「資産」を少しずつ奪っています。Webサイトは、先生の医療を待っている患者さんとクリニックを繋ぐ大切な架け橋です。その架け橋の主導権を、業者任せにせず、先生の手に取り戻してください。
まずは、お手元の契約書を確認することから始めてみませんか? 正しい知識とパートナーさえいれば、移行は決して怖いものではありません。