
「病院のホームページを安く作りたいけれど、安かろう悪かろうでは困る」とお悩みではありませんか?医療機関にとってサイトは単なる紹介状ではなく、患者さんの信頼を勝ち取るための顔です。初期費用を抑えながらも、医療法を遵守し、しっかり集患できるサイトを手に入れるための正解ルートを公開します。
病院のホームページ制作を格安で済ませることは可能か?
- 格安制作は可能だが、「何を削るか」の戦略が必要
- デザインの自由度よりも「患者の見やすさ」を優先すればコストは下がる
- 「安さ」だけで選ぶと、修正費や追加オプションで結局高くなるリスクがある
結論から申し上げますと、病院やクリニックのホームページを格安で制作することは十分に可能です。しかし、ここで重要なのは「格安=品質が低い」という図式を成立させないことです。
私が数多くのクリニックサイトを手掛ける中で見てきた現実は、予算をかけすぎて自己満足に陥っている豪華なサイトよりも、要点を押さえたシンプルなサイトの方が、患者さんにとっては「使いやすい」=「来院につながりやすい」ケースが多々あるということです。
費用を抑えるポイントは、デザインの「オーダーメイド性」を捨てることにあります。一からオリジナルでデザインを描き起こすと、どうしても数十万円以上の人件費がかかります。しかし、医療機関として必要な情報は「診療時間」「アクセス」「診療内容」「医師紹介」など、ある程度決まっています。
これらを体系化した「型(テンプレート)」を上手に活用することで、制作コストを劇的に下げつつ、患者さんが迷わない導線を確保することが、賢い院長の戦略と言えるでしょう。
格安制作の2つの主要パターン:初期費用0円型 vs テンプレート型
- 初期費用0円型:開業時のキャッシュフローに優しいが、長期的な支払い総額に注意
- テンプレート型:買い切りで総コストは安いが、自分で更新する手間が発生しやすい
- 自院のITリテラシーと資金状況に合わせて選択することが重要
格安でホームページを持つための選択肢は、大きく分けて2つのパターンが存在します。それぞれのメリットとデメリットを理解し、先生の経営スタイルに合ったものを選んでください。
1. 初期費用0円・月額課金(サブスク/リース)型
制作費(イニシャルコスト)を無料あるいは極端に安く設定し、その分を月額費用(ランニングコスト)で回収するモデルです。
- メリット: 開業資金がカツカツな時期に、まとまった現金の持ち出しがないこと。
- デメリット: 契約期間(例えば5年リースなど)の縛りがある場合が多く、途中解約が難しかったり、トータルで見ると割高になったりすることがあります。また、解約時にドメイン(ネット上の住所)やサイトデータをもらえないケースもあるため契約内容の確認が必須です。
2. テンプレート活用・買い切り型
あらかじめ用意されたデザインテンプレートに、写真やテキストを流し込んで制作するモデルです。
- メリット: 制作費が安価(数万円〜20万円程度)で済み、月額費用もサーバー代などの実費のみに抑えられることが多い点です。
- デメリット: 他の医院と似たようなデザインになりがちです。また、更新作業を自分たちで行う必要があるプランも多く、院内にPC操作が得意なスタッフがいないと放置サイトになるリスクがあります。
費用を抑えつつ「信頼感」を損なわないための必須項目
- 「写真」だけはプロに依頼するか、高画質で撮影すべき
- スマホ対応(レスポンシブデザイン)は絶対に削ってはいけない
- 「医師の顔」と「想い」が見えることで、デザインの簡素さをカバーできる
格安プランを選んだとしても、絶対に妥協してはいけないポイントがあります。それは「医療機関としての信頼性」です。患者さんは、サイトのデザインが豪華かどうかよりも、「ここは清潔か?」「先生は怖くないか?」「ちゃんと診てくれそうか?」を無意識にチェックしています。
写真のクオリティがすべてを決める
テンプレートデザインであっても、使用する写真が明るく清潔感があれば、サイト全体が高品質に見えます。逆に、どれだけ高いサイトを作っても、写真が暗かったり、無料素材の外国人モデルが笑っていたりするだけのサイトでは、患者さんは「この病院、実態が見えないな」と不安になります。制作費を削っても、カメラマン代(数万円)だけは予算を確保することをお勧めします。
スマホでの見やすさは最優先
今や患者さんの8割以上がスマートフォンで病院を探します。PCでの見た目はシンプルで構いませんが、スマホで見た時に「電話ボタンが押しやすい」「地図アプリがすぐ開く」「診療時間がすぐわかる」こと。これだけは徹底してください。ここが使いにくいと、患者さんは別のクリニックへ流れてしまいます。
医療機関に特化した格安ホームページ制作サービスの特徴
- 一般の格安業者と違い、医療特有のページ構成があらかじめ用意されている
- 予約システムや問診票ダウンロードなど、実務に必要な機能が標準装備
- 事例として「MediClips」のような専門サービスの活用が効率的
世の中には「格安ホームページ制作」を謳う業者は星の数ほどありますが、私は強く「医療機関に特化したサービス」を選ぶことを推奨します。なぜなら、飲食店や美容室のサイト制作とは、求められる要件が全く異なるからです。
例えば、株式会社ニチイ学館が提供する「MediClips(メディクリップス)」のようなサービスです。
医療事務や介護で実績のあるニチイ学館が提供しているため、医療機関や調剤薬局に何が必要かを熟知しています。
- 初期費用0円・月額4,800円(税別)〜という低価格設定。
- スマホ対応はもちろん、医療機関向けのテンプレートが豊富。
- 最短2週間での公開が可能。
このように、最初から「病院用」としてパッケージ化されているサービスを使えば、「診療科目の書き方が分からない」「休診日の表示はどうすればいい?」といった細かい悩みで時間を浪費することがなくなります。ITに詳しくない先生こそ、汎用的な制作会社ではなく、医療専門のサービスを頼るべきです。
安さの裏に潜むリスク:医療広告ガイドラインとSEO対策の罠
- 「地域No.1」「最高の医療」などの表現は、格安業者だとスルーされ処罰対象に
- SEO(検索対策)は「地名+診療科」で上がらなければ、サイトが存在しないのと同じ
- 医療法を知らない業者に任せると、後から修正命令を受けて余計なコストがかかる
ここが本記事で最もお伝えしたい「守り」の部分です。制作費の安さだけで業者を選ぶと、取り返しのつかないリスクを背負うことになります。
医療広告ガイドライン違反のリスク
一般の格安Web制作会社は、医療法(医療広告ガイドライン)を知りません。
「最新の治療」「地域No.1の実績」「絶対に治ります」
といった、集患のために使いたくなる文言は、実はガイドラインで禁止されています(誇大広告・比較優良広告)。これを知らずに掲載し、保健所から指導が入れば、サイトの修正や閉鎖を余儀なくされます。格安業者は「原稿は先生が用意してください、そのまま載せます」というスタンスが多いため、法的リスクのチェック機能が働かないのです。
「作っただけ」のSEO対策
「SEO対策込み」と謳っていても、格安プランの場合は「タイトルタグを設定するだけ」というケースがほとんどです。クリニックの集患で重要なのは「〇〇市 内科」「〇〇駅 皮膚科」といったキーワードで検索上位に表示されることです。
安易なテンプレートサイトは、Googleから「内容が薄い」と判断され、検索結果の圏外に飛ばされることもあります。最低限、各疾患ごとのページを作成できるか、ブログ機能で院長が情報を発信できる仕組みがあるかを確認してください。
制作費以外に発生する「月額費用」の相場と内訳
- 月額費用の適正相場は5,000円〜20,000円程度(サポート内容による)
- 「管理費」の名目で何もしてくれない業者には注意
- 修正のたびに追加料金がかかるか、月額に含まれるかを確認する
「制作費1万円!」と大きく宣伝していても、月額管理費が数万円かかるケースは珍しくありません。何にお金を払っているのかを把握しましょう。
- ドメイン・サーバー代(必須実費): 年間数千円〜1万円程度。月換算すると数百円〜千円程度です。
- システム利用料・保守費: テンプレートやCMS(更新システム)を使うための費用。数千円程度が相場です。
- 更新・修正代行費: これが価格差の大きな要因です。「診療時間の変更」や「お知らせの更新」を業者に丸投げする場合、人件費として月額1万円〜3万円程度が上乗せされます。
ご自身やスタッフで「お知らせ」程度は更新できるのであれば、更新代行費の含まれていない安いプラン(月額5,000円前後)で十分です。逆に、「PCは一切触りたくない」という場合は、月額1.5万〜2万円払ってでも、電話一本で修正してくれるサポートの手厚いプランを選ぶ方が、結果的にストレスも人件費も浮きます。
院内での事前準備がカギ!制作コストをさらに下げる3つの工夫
- 原稿とサイトマップ(構成図)を自院で用意すれば、値引き交渉の余地やプランダウンが可能
- 院内写真、スタッフ写真は事前に撮影して素材フォルダにまとめておく
- 参考サイト(こんな風にしたい)を具体的に提示し、デザイナーの工数を減らす
制作会社の見積もりが高くなる最大の理由は「ディレクション(やりとり)」の手間賃です。先生からの原稿が遅い、写真がない、要望が二転三転する…となると、業者はリスクヘッジのために費用を高く見積もります。逆に言えば、先生側で準備を整えれば、最安プランでも高品質なものが作れます。
- 原稿を固める: 院長の挨拶文、診療方針、経歴、アクセス情報はWord等で完璧に用意しておきましょう。
- 写真素材を用意する: プロに頼まないまでも、明るい時間帯にスマホで綺麗に撮影した院内写真や、ロゴデータを整理して渡せる状態にしておきましょう。
- 「やりたいこと」を絞る: 「あれもこれも」ではなく、「まずはトップページと診療案内とアクセスだけでいい」と割り切ることで、ページ数を減らし費用を抑えられます。
失敗しないための格安制作会社選びのチェックリスト
- 医療機関の制作実績が豊富か?(ポートフォリオを確認)
- 契約終了後のドメイン・データの所有権は誰にあるか?
- 医療広告ガイドラインについての知識があるか?
- スマホ対応が標準装備になっているか?
- 修正依頼をした時のレスポンスは早いか?
最後に、業者選びで失敗しないためのチェックリストをお渡しします。特に重要なのは「所有権」と「医療法の知識」です。
安く作れたとしても、数年後にリニューアルしようとした際に「ドメインは当社のものなので返せません(また別のアドレスで一からやり直し)」と言われるトラブルは後を絶ちません。
先生のクリニックが、地域の方々に愛され、長く続くように。
Webサイトは「安さ」だけでなく、「安全性」と「将来性」も見据えて選んでください。予算が限られているからこそ、賢い選択で、患者さんに信頼される入り口を作り上げましょう。