
「制作会社に任せておけば安心」という思い込みが、数百万円の損失とプロジェクトの停滞を招くかもしれません。
実は、ホームページ制作の失敗の8割は、制作が始まる前の『選び方』の段階で決まっています。
会社から「成果を出せ」と厳命されているものの、IT用語は難しく、営業マンの言葉が本当なのか判断できない。もし失敗すれば、大切な予算をドブに捨てることになり、社内でのあなたの立場も危うくなる……そんなプレッシャーを抱えていませんか?
私は普段、AIを活用したSEOやGoogleマップ運用の自動化システムを構築・提供している立場ですが、その中で数多くの「作り直しの相談」を受けてきました。その多くが、最初の制作会社選びで「契約の罠」にハマってしまったケースです。
後悔しないために知っておくべき、業界の裏側を知るプロとしての選定基準をすべて公開します。
なぜ多くの企業がホームページ制作会社選びで失敗するのか?
- 「作る」ことがゴールになり、運用の視点が欠けている
- 発注者と制作者の「知識の格差」が埋まっていない
- 「きれいなデザイン」=「良いサイト」という誤解がある
なぜこれほどまでに、ホームページ制作のトラブルは後を絶たないのでしょうか。
最大の原因は、発注側と受注側の「ゴールの不一致」です。経営者やWeb担当者であるあなたのゴールは「売上アップ」や「問い合わせ増加」といったビジネスの成果はずです。しかし、多くの制作会社のゴールは「納期までに仕様通りのサイトを納品すること」に設定されています。
このズレを放置したまま契約すると、「言われた通りに作りました(成果が出るとは言っていない)」という悲劇が生まれます。
また、IT知識に自信がない担当者ほど、相手の専門用語(SEO対策、レスポンシブ対応など)に圧倒され、「プロが言うなら間違いない」と思考停止してしまいがちです。しかし、その「SEO対策」が具体的に何を指すのか(単なるプラグイン導入なのか、設計からの最適化なのか)を確認しないまま進めば、形だけのサイトが出来上がります。
【事例別】本当によくある制作会社の「失敗パターン」3選
- リース契約(長期分割)による解約不可の地獄
- 更新費用が不明瞭で、修正のたびに高額請求
- 担当営業と制作現場の連携不足による「言った言わない」
実際に私が相談を受けた中で、特に悪質、あるいは不幸な失敗パターンを3つ紹介します。これらに当てはまる提案が来たら、即座に警戒してください。
1. リース契約の罠
「初期費用0円、月々3万円の5年契約でホームページが持てます」という営業トーク。これはPCやコピー機と同じ「リース契約」をサイト制作に適用する手法です。これの何が問題かというと、途中解約ができません。 サイトが全く役に立たなくても、会社が倒産しない限り支払義務が残ります。しかも、所有権はリース会社にあるため、契約終了後にサイトが消滅することもあります。
2. 「更新は簡単です」の嘘
WordPressなどで作れば自分たちで更新できると聞き契約したものの、実際は複雑なカスタマイズが施されており、画像一枚差し替えるのにもHTMLの知識が必要な仕様だった……というケース。「更新マニュアル」の有無や、更新システムの使い勝手を契約前に確認しなかったことが原因です。
3. 営業マンのオーバートーク
契約を取るために「あれもできます、これもやります」と安請け合いする営業マン。しかし、制作現場にはその要件が伝わっておらず、納品間近になって「それは追加費用です」「技術的に不可能です」と言われるパターン。これは制作会社内部の体制の問題ですが、被害を受けるのはあなたです。
価格だけで選ぶリスク:安物買いの銭失いになる根本的な理由
- 「安さ」には必ず削られた理由がある
- テンプレートの使い回しで、拡張性がゼロ
- 事業理解のプロセスが省略され、中身がスカスカになる
予算に限りがあるのは理解できますが、相場より極端に安い見積もりには必ず裏があります。
制作費の大部分は「人件費」です。価格が安いということは、それだけ「人の手間をかけない」ことを意味します。具体的には、以下のようなコストカットが行われます。
- ヒアリング時間の削減: あなたの会社の強みや競合を調査せず、一般的な文章を流用する。
- テンプレートの流用: 他社と同じ型に、色とロゴだけ変えて納品する。独自性がなく、ユーザーに響かない。
- アフターフォローなし: 作って終わり。「バグがあっても修正は別料金」というスタンス。
結果として、「安く作れた」と喜べるのは納品の瞬間だけで、その後何年も「集客できないサイト」の維持費を払い続けることになります。これこそが最大の無駄遣いです。
契約前に必ず確認!ドメイン・サーバーの所有権という「見えない罠」
- ドメインの所有権が制作会社にあると「人質」になる
- サーバーのアカウント権限がないと、他社へ乗り換えられない
- 「管理費」の内訳がドメイン・サーバー代だけなら割高すぎる
ここが今回の記事で最も重要な「防衛策」です。デザインや価格の交渉よりも先に、必ずこれを確認してください。
「ドメイン(◯◯.com)とサーバーの契約名義は誰になりますか?」
もし、制作会社が「弊社名義で取得し、管理します」と言ったら要注意です。ドメインとサーバーの所有権を制作会社に握られるということは、Web上の「土地」と「建物」の権利を他人に握られているのと同じです。
将来、その制作会社の対応が悪くて解約しようとした時、「解約するならドメインは返しません(サイトは消えます)」と言われたり、「ドメイン移管手数料」として法外な金額を請求されたりするトラブルが多発しています。
必ず「自社名義」で契約させてくれる会社、あるいは「いつでも無償で譲渡可能」と契約書に明記してくれる会社を選んでください。 これだけで、将来のリスクの半分は回避できます。
実績の見方を変える:デザイン性よりも「成果(CV)」を重視すべき理由
- 「きれいなサイト」と「売れるサイト」は別物
- 同業種での成功事例があるかを確認する
- デザインの好みではなく「ターゲットに刺さるか」で判断
制作会社のWebサイトにある「制作実績」を見る時、つい「デザインがおしゃれか」「かっこいいか」で選んでいませんか?しかし、経営者が求めるのは芸術作品ではなく、売上を生むツールです。
実績を見る際は、デザイン性よりも以下の点を質問してみてください。
「このクライアントは、サイトリニューアル後に問い合わせが何割増えましたか?」
「どのようなキーワードで検索順位が上がりましたか?」
これに即答できる制作会社は、作った後の「成果」まで責任を持って見ています。逆に、「数字はわかりませんが、クライアントには満足していただきました」としか言えない会社は、「作って終わり」の可能性が高いです。
担当者との相性チェック:ミスマッチを防ぐための3つの質問
- 専門用語を使わず、ビジネス用語で話せるか
- 「御社のビジネスモデル」について深く質問してくるか
- リスクやデメリットを正直に伝えてくれるか
制作期間は数ヶ月、その後の運用を含めれば数年の付き合いになります。担当者との相性は極めて重要です。以下の3つの質問を投げかけ、相手の反応を見てください。
- 1. 「御社が考える、弊社の業界でのWeb集客の難しさは何ですか?」
- 業界の現状や競合を理解しようとする姿勢があるかを見ます。
- 2. 「予算内でできないことは何ですか?」
- 誠実な業者は、予算の限界と、その中で捨てるべき機能を明確に説明します。「なんでもできます」という業者は信用できません。
- 3. 「公開後の修正やトラブル対応のフローはどうなっていますか?」
- 緊急時の連絡体制や、チャットツールが使えるかなど、実務レベルのスピード感を確認します。
失敗を未然に防ぐ事前準備:RFP(提案依頼書)の役割と作り方
- 口頭だけで伝えると「言った言わない」になる
- RFPを作ることで社内の要望も整理できる
- 同じ条件で比較しないと、見積もりの正当性が判断できない
制作会社に声をかける前に、RFP(提案依頼書)をA4用紙1枚でも良いので作成しましょう。ITの知識がなくても大丈夫です。以下の項目を書き出すだけで、制作会社からの提案の質が劇的に上がります。
- 1. プロジェクトの目的: (例:電話問い合わせを月10件から30件に増やしたい)
- 2. ターゲット: (例:地域内の30〜40代の主婦層)
- 3. 現状の課題: (例:スマホで見づらい、更新ができない)
- 4. 必要な機能: (例:お知らせ更新機能、予約フォーム)
- 5. 予算感と納期: (例:150万円以内、◯月までに公開)
- 6. 参考サイト: (例:デザインや機能がイメージに近い他社サイト)
これを渡すことで、制作会社は「この客は本気だ」「適当な提案はできない」と襟を正します。また、各社から同じ条件で見積もりを取れるため、比較検討が容易になります。
制作会社を「パートナー」として選定するための最終チェックリスト
- 契約・権利関係のクリアさ(ドメイン・サーバー)
- 運用・保守フェーズのコストと範囲
- 「成果」に対するコミットメントと共有
最後に、契約書にハンコを押す前の「最終チェックリスト」をお渡しします。
- [ ] ドメイン・サーバーのアカウント情報は自社で管理できるか?
- [ ] 著作権の帰属は明確か?(画像や原稿データの二次利用など)
- [ ] 修正回数や追加費用のルールは明確か?
- [ ] SEO対策の具体的な内容(内部設計、タグ設定など)は明記されているか?
- [ ] 公開後の保守サポートの内容(OS更新、バックアップなど)は十分か?
- [ ] 担当者はビジネスパートナーとして信頼できるか?
ホームページは「公開した日」がスタート地点です。建物と同じで、どんなに立派なビルを建てても、メンテナンスを怠り、テナント(コンテンツ)が入らなければ廃墟になります。
あなたが選ぶべきは、単にきれいな絵を描くデザイナーではなく、あなたの会社のビジネスを理解し、長く並走してくれる「戦略パートナー」です。
この選定基準を武器に、ぜひ「会社に利益をもたらすWebサイト」を実現させてください。あなたのプロジェクトが成功することを、心から応援しています。