
「起業したらまずはホームページを作らないと……」
その常識、あなたの業種では不正解かもしれません。
数十万、時には100万円以上かけて作った立派なウェブサイトが、実は「誰も見ていない」ただの飾りになってしまっているケースを、私は現場で嫌というほど見てきました。
私は普段、AIを活用したSEO対策やGoogleマップ(MEO)運用の自動化システムを開発・提供しています。テクノロジーで集客を効率化する立場だからこそ、断言できます。
「すべてのビジネスに、高額なホームページが必要なわけではない」
制作会社は仕事が欲しいので「絶対に必要です」と言いますが、経営資源(ヒト・モノ・カネ)が限られる中小企業や個人事業主にとって、それはポジショントークでしかありません。
この記事では、ウェブ制作のプロとしての忖度を一切抜きにして、「ホームページがいらない業種」と、その判断基準を徹底解説します。無駄な投資を避け、最短ルートで利益を出すための「賢い選択」を一緒に考えていきましょう。
なぜ「ホームページはいらない」と言われるのか?共通する3つの理由
- 費用対効果(ROI)が見合わないケースが多いから
- ユーザーの検索行動が「Google検索」から「SNS・マップ」へ変化したから
- 「新規顧客」をネットで集める必要がないビジネスモデルだから
まず、なぜこれほどまでに「ホームページ不要論」が出てくるのか、その背景にある「経営的な合理性」を理解する必要があります。
最大の理由は、「コストと成果の不一致」です。一般的な制作会社に依頼すれば、初期費用で30万〜100万円、さらに保守管理費で月額1〜2万円がかかります。しかし、作ったからといってすぐに客が来るわけではありません。そこに広告費やSEO対策費をかけ続けなければ、砂漠の真ん中に看板を立てるようなものです。
次に、「ユーザー行動の変化」です。例えば、あなたが今日のランチを探す時、わざわざ「地域名 ランチ」とGoogle検索をして、各店舗の重たいホームページを隅々まで読み込むでしょうか?おそらく、Googleマップで近くの店を探すか、Instagramで美味しそうな写真を検索するはずです。ユーザーがいない場所に、立派な城を築く必要はありません。
そして3つ目が、「紹介・リピート依存型」のビジネスである場合です。完全紹介制のサロンや、特定の大手企業からの下請け仕事のみで回っている建設業など、「見知らぬ誰か」に見つけてもらう必要がない場合、集客装置としてのホームページは無用の長物となります。
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【具体例】ホームページの優先度が低い業種リスト
- 【飲食・美容】小規模な地域密着型店舗
- 【建設・職人】大手からの二次請け・三次請け専門
- 【緊急系サービス】鍵開け・水道修理などの緊急対応
では、具体的にどのような業種で優先度が低いのか、私の経験則からリストアップします。ただし、「絶対に作るな」という意味ではなく、「最初にお金をかけるべきはそこではない」という意味で捉えてください。
1. ポータルサイトやSNSが強い「飲食・美容・サロン」
ホットペッパービューティー、食べログ、そしてInstagram。これらが「集客のメインストリーム」である業種です。特に席数やベッド数が少ない小規模店舗の場合、ポータルサイトとSNSだけで予約枠が埋まるなら、自社サイトは不要です。メニューや雰囲気はSNSの方が伝わりやすく、更新もスマホ一台で完結します。
2. 人脈で仕事が回る「下請け専門の建設業・フリーランス」
「仕事はすべて親会社や知り合いからの紹介」という場合、SEO対策(検索順位を上げること)をする意味がありません。名刺代わりに「会社概要」程度があれば十分ですが、何十ページもある立派なサイトは過剰投資です。
3. 今すぐ解決したい「緊急駆けつけサービス」
鍵をなくした、水漏れした。こういう時、ユーザーは悠長にホームページの「私たちの理念」など読みません。スマホで検索し、検索結果の一番上に出ている広告をクリックして、電話ボタンを押すだけです。この場合、必要なのは「ホームページ」ではなく、電話番号が大きく書かれた「ランディングページ(LP)1枚」です。
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ホームページが不要でも「集客」に困らない代わりの手段
- Googleビジネスプロフィール(MEO対策)
- 業種特化型ポータルサイト
- 各SNSプラットフォーム(Instagram / X / TikTok)
「ホームページがいらないなら、どうやってネット集客するの?」その答えは、私が専門とする「Googleマップ(Googleビジネスプロフィール)」と「SNS」の活用にあります。これが現代の「最小構成の集客インフラ」です。
最強の無料ツール:Googleビジネスプロフィール
実店舗ビジネスにおいて、これは必須です。店名、営業時間、電話番号、写真、そして口コミ。顧客が知りたい情報の9割はここに集約されています。しかも無料です。ホームページを作る予算があるなら、まずはこのGoogleビジネスプロフィールの情報を充実させ、MEO対策(マップ検索での上位表示)に力を入れた方が、集客効果は圧倒的に早いです。
視覚で訴求する:SNS(Instagram / TikTok)
美容室、カフェ、ジム、アパレルなど、ビジュアルが重要な業種は、ホームページよりもSNSのフォロワー数や「保存数」が信頼の証になります。「ホームページは更新が止まっているが、インスタのストーリーは毎日動いている」という店の方が、今の消費者は安心感を覚えるのです。
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逆に「絶対にホームページが必要な業種」とその決定的な違い
- 【B2B】法人取引がメインの業種
- 【高単価・無形】コンサルティング、士業、医療
- 【採用】求人に力を入れたい企業
ここまで「不要」なケースを話しましたが、逆に「これがないとビジネスが死ぬ」というケースもあります。その境界線は「信頼の担保(与信)」と「情報の複雑さ」にあります。
B2B(対法人ビジネス)
法人が取引先を探す時、必ず「企業調査」を行います。銀行融資を受ける際や、新規取引の口座開設時、ホームページが存在しない(または無料ブログなどである)場合、「この会社は実態があるのか?」と疑われ、商談のテーブルにすら着けないリスクがあります。
高単価かつ説明が必要なサービス
コンサルタント、弁護士、自由診療のクリニックなど。これらは「人」や「専門知識」が商品であり、価格も高額です。SNSの短い投稿だけでは、専門性や信頼性を伝えきれません。深い記事コンテンツや事例紹介を通じて、専門性を証明する「母艦」としてのサイトが不可欠です。
求人採用を強化したい場合
求職者は、求人サイトを見た後、必ず「その会社のホームページ」を検索します。「どんな先輩がいるのか」「社長のメッセージは」といった深い情報を確認し、入社の意思を固めます。採用においてホームページがないことは、致命的な機会損失になります。
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ホームページを持たない場合の「隠れたリスク」と対策
- プラットフォーム依存のリスク(垢BAN=倒産)
- 情報のストックができない(フロー型情報の限界)
- 社会的信用の天井が低くなる
あえてホームページを持たない戦略をとる場合、絶対に知っておくべき「リスク」があります。それは「他人の土地で商売をしている」という危うさです。
プラットフォーム・リスク
これが最大のリスクです。InstagramやYouTube、ポータルサイトは、あくまで「他社のプラットフォーム」です。ある日突然、規約変更でアカウントが停止されたり、アルゴリズムが変わって露出がゼロになったりする可能性があります。「インスタのアカウントが消えたら、顧客リストが全滅する」という状態は、経営として非常に脆弱です。
対策:ペライチでもいいから「自社ドメイン」を持つ
このリスクを回避するために推奨するのが、「名刺代わりの1ページサイト(ペライチ)」を持つことです。何十万円もかける必要はありません。月額1,000円程度の維持費で、独自ドメイン(.comや.jp)を取得し、自社の連絡先とサービスの概要だけを載せたページを1枚持っておく。
これがあれば、万が一SNSが凍結されても、「店名検索」をしてくれた既存客を迷子にさせることはありません。これが、コストを抑えつつリスクヘッジする賢い方法です。
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制作費用で後悔しないための「必要性チェックリスト」
- 顧客の流入経路をシミュレーションしたか?
- 採用や銀行融資の予定はあるか?
- 「更新する時間」または「更新担当者」はいるか?
最後に、あなたが今、ウェブサイト制作を発注すべきかどうか、即断できるチェックリストを用意しました。
- 【集客経路】 お客さんは「店名検索」で来ますか?それとも「悩み検索(例:腰痛 治し方)」で来ますか?
- *店名検索・地域検索なら → Googleマップで十分*
- *悩み検索なら → 記事が書けるブログ機能付きHPが必要*
- 【予算】 制作費とは別に、月々の「広告費」や「運用費」を用意できますか?
- *できない → 作っても無駄になる可能性大。無料ツールを磨くべき。*
- 【目的】 「なんとなく必要そうだから」ではないですか?
- *明確な目的(例:採用のエントリー数を増やす、法人営業の資料として使う)がないなら、今はまだ早い。*
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【結論】あなたのビジネスにウェブサイトは今すぐ必要か?
- まずはGoogleビジネスプロフィールとSNSで「0→1」を作る
- 利益が出て、信頼や採用が必要になった段階でサイトを作る
- 最初から完璧を目指さず、ビジネスの成長に合わせて投資する
結論を言います。もしあなたが今、ビジネスの立ち上げ初期で、資金を1円でも大切にしたいなら、焦って高額なホームページを作る必要はありません。
まずは無料で使えるGoogleビジネスプロフィールを徹底的に作り込み、SNSで顧客との関係性を築いてください。これだけで、初期の集客は十分に回ります。
ホームページが必要になるのは、ビジネスが軌道に乗り、「法人取引を増やしたい」「優秀な人材を採用したい」「ブランド力を高めたい」という『次のステージ』が見えてきた時です。
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