
「WordPressテーマのちょっとした修正に、数十万円もかかるのは妥当?」そんな疑問を抱えていませんか。既存テーマのカスタマイズ料金は、作業の難易度によって数千円から数十万円まで大きく変動します。
システム構築や自動化のプロデュースを行っている私の視点から見ても、WordPressのカスタマイズ料金は「作業工数」と「技術的リスク」で明確に説明がつきます。しかし、多くの発注者はその中身が見えないため、不透明さを感じてしまうのです。
本記事では、後悔しないための料金相場と、賢く費用を抑えるための依頼テクニックをプロの視点で詳しく解説します。
WordPress既存テーマカスタマイズの料金相場表
- 小規模な修正(CSS/文言変更)は数千円〜数万円が目安
- 機能追加やPHP編集を伴う場合は5万円〜がスタートライン
- 既存テーマの構造を大きく変える場合は、新規制作に近い費用になる
まず、感情論抜きで「市場価格としての適正ライン」を把握してください。以下は、Web幹事などの信頼できるデータソースや、実際の開発現場での相場感を統合した料金表です。
| カスタマイズ内容 | 難易度 | 料金相場(目安) | 作業時間の目安 |
|---|---|---|---|
| CSS調整 (文字色、サイズ、余白の調整) |
低 | 5,000円 〜 3万円 | 1 〜 3時間 |
| プラグイン導入・設定 (問い合わせフォーム、スライダー等) |
低〜中 | 1万円 〜 5万円 | 2 〜 5時間 |
| PHP編集・機能追加 (ウィジェットエリア追加、条件分岐) |
中 | 3万円 〜 10万円 | 5 〜 15時間 |
| デザイン大幅改修 (トップページのレイアウト変更) |
高 | 10万円 〜 30万円 | 3日 〜 1週間 |
| EC機能・会員機能の実装 (決済連携、ログイン機能) |
高 | 30万円 〜 | 2週間 〜 |
これはあくまで目安ですが、エンジニアの単価を時給3,000円〜5,000円(フリーランスや制作会社の原価ベース)で計算すると、上記の金額が妥当であることがわかります。
【予算別】依頼できるカスタマイズ内容の範囲(5,000円〜30万円)
- 予算5,000円〜1万円:見た目の微調整のみ可能
- 予算3万円〜5万円:特定の機能追加やレイアウト崩れの修正が可能
- 予算10万円以上:サイト全体のレスポンシブ対応や独自機能の実装が可能
予算によって「どこまで技術的な深入りができるか」が決まります。予算ごとの具体的な依頼可能範囲を見ていきましょう。
5,000円〜1万円:スポット修正レベル
「見出しのデザインを変えたい」「フォントサイズを大きくしたい」「特定箇所の背景色を変えたい」といった、CSS(スタイルシート)の記述だけで完結する作業です。
クラウドソーシング等で個人に依頼する場合、この価格帯で対応可能なケースが多いですが、テーマ全体の設計に関わるような変更はできません。
3万円〜5万円:機能調整・部分改修レベル
「サイドバーに特定のバナーを表示させたい(ウィジェットエリアの追加)」「スマホ表示の時だけ特定の要素を消したい」といった、テーマファイル(PHP)の軽い編集が必要な領域です。
また、問い合わせフォームのデザイン調整や、Googleマップの埋め込み調整などもこの範囲内です。
10万円〜30万円:構造変更・高度な機能実装レベル
「トップページの記事一覧をスライダー形式に変更したい」「カスタム投稿タイプを追加して、施工事例ページを独自のデザインで作りたい」といった、データベースやJavaScriptが絡む複雑なカスタマイズです。
ここまでくると、既存テーマの仕様を解析する時間が長くなるため、費用が跳ね上がります。
依頼先による違い:クラウドソーシング・個人開発者・制作会社の比較
- クラウドソーシングは最安だが品質のばらつき大
- 個人開発者(フリーランス)はコスパが良いが属人化のリスクあり
- 制作会社は高額だが、保証やアフターサポートが手厚い
誰に依頼するかで、同じ作業内容でも見積もり額は倍以上変わります。それぞれのメリット・デメリットを冷徹に比較します。
クラウドソーシング(ココナラ・ランサーズ等)
- 費用感: 低(相場の50%〜70%程度)
- 特徴: 「CSS調整1箇所1,000円」のような切り売り型が多い。
- 注意点: 相手がプロとは限りません。コードの書き方が汚く、後のアップデートで不具合が出るリスクがあります。「とりあえず動けばいい」という一時的な修正向けです。
個人開発者(フリーランス)
- 費用感: 中(適正相場)
- 特徴: 技術力のあるエンジニアに直接依頼できれば、最もコスパが良い選択肢です。
- 注意点: その人が病気になったり廃業したりすると、サイトの構造を知る人がいなくなります。連絡が途絶えるリスクも考慮する必要があります。
Web制作会社
- 費用感: 高(相場の1.5倍〜2倍)
- 特徴: ディレクターが間に入るため、コミュニケーションコストや品質管理費が上乗せされます。
- 注意点: 法人としての信頼性は高いですが、小規模な修正には「最低発注金額(ミニマムチャージ)」を設定している場合があり、割高になる傾向があります。
注意!既存テーマのカスタマイズ費用が跳ね上がる3つの要因
- 子テーマを使っていない場合の修正リスク
- 有料テーマ独自の複雑な仕様(ブラックボックス化)
- 他のプラグインとの競合調査費
見積もりが想定より高くなった場合、以下の3つの技術的要因が絡んでいる可能性が高いです。これらは「作業時間」を肥大化させる要因です。
1. 「子テーマ」化されていないサイトの修正
親テーマを直接書き換えると、テーマのアップデート時に修正が消えてしまいます。これを防ぐために「子テーマ」を作成する必要がありますが、その環境構築作業が含まれると費用が上乗せされます。
2. 独自仕様が複雑な有料テーマ
TCDやSnow Monkeyなどの高機能な有料テーマは、内部構造が非常に複雑です。独自の関数やフックが多用されているため、エンジニアがそのテーマの仕様を理解・調査するのに時間がかかります。この「調査費」が見積もりに反映されます。
3. プラグイン同士の競合(コンフリクト)
「スライダーが動かない」という相談に対し、原因が他のプラグインとの相性(JavaScriptの干渉)である場合、原因特定に膨大な時間がかかります。修正作業そのものは1行のコード変更でも、そこに至るまでの「原因特定費」が発生します。
制作費を安く抑えるために発注者が準備すべき「指示書」の作り方
- 「現状」と「理想」を画像で視覚的に伝える
- 具体的な参考サイト(URL)を提示する
- ログイン情報やサーバー情報を事前に整理しておく
エンジニアの見積もりは「作業時間」で算出されます。つまり、コミュニケーションコスト(やり取りの手間)を減らせば、見積もりは安くなります。以下の準備をしてから見積もりを依頼してください。
1. スクリーンショットへの書き込み
「ここを直して」と文章で書くのではなく、サイトのスクリーンショットを撮り、修正したい箇所を赤枠で囲み、どうしたいかを書き込んだ画像を用意してください。これで認識のズレによる手戻りリスク(=予備費)が排除されます。
2. 参考URLの提示
「おしゃれにしたい」等の抽象的な言葉はNGです。「このサイト(URL)の、この部分と同じ動きにしたい」と指定してください。エンジニアはコードを見て実装方法を即座にイメージできるため、調査時間が短縮されます。
3. 環境情報の即時提示
WordPressのログイン情報、FTP情報、使用しているテーマ名、サーバー会社名をリスト化しておきましょう。調査段階でスムーズに情報提供ができる発注者は「仕事がしやすい」と判断され、良心的な価格を提示されやすくなります。
既存テーマのままでいくか、オリジナルテーマにするかの判断基準
- カスタマイズ費用が30万円を超えるならリニューアルを検討
- 表示速度が改善しない場合はテーマ自体が原因の可能性
- 事業フェーズの変化により、既存デザインが足かせになっている場合
最後に、プロデューサーとしての判断基準をお伝えします。既存テーマのカスタマイズは「継ぎ足しの増築」です。以下の場合は、無理にカスタマイズを続けるよりも、作り直した方が長期的には安上がりになる場合があります。
- カスタマイズ総額が30万円を超える場合:
30万円あれば、シンプルな構成のオリジナルテーマ制作や、より高機能な別テーマへの載せ替えが視野に入ります。 - 表示速度が極端に遅い場合:
多機能すぎるテーマはコードが肥大化しています。いくら表面をカスタマイズしても、土台が重ければSEO効果もユーザー体験も改善しません。 - デザインの「無理やり感」が出ている場合:
ブログ用テーマを無理やりコーポレートサイト風に改造しようとすると、CSSで強引な上書きが増え、メンテナンス性が崩壊します。
カスタマイズはあくまで「部分最適」です。あなたのビジネスが拡大し、全体最適が必要なフェーズに来ているなら、勇気を持って「リニューアル」を選択することも、結果的にコストを抑える賢い戦略です。